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精子凍結を繰り返す中で突きつけられた「量が少ない」という現実。病気・お金・性機能・夫婦の心──
問題は静かに連鎖していく。未来のために、今の夫婦関係を守る“対話”と“覚悟”の大切さを実体験から描く闘病記。
■もう一度、未来に賭けて
「よし、もう一度チャレンジしよう。」
精子の量が少ないと知ったあと、
私はすぐにそう決めました。
助成金の制度を活用すれば、
3回ほど凍結しておくことで安心材料になる。
自己負担も減らせるし、できることは全部やっておこう。
そう思って再び病院へ向かいました。
■“量”の壁──希望を持ちながら向き合う現実
再チャレンジの日。
例の「精神と時の部屋」に入り、
静かに自分と未来に向き合う時間。
提出後、医師が告げた結果はまたしても同じでした。
「やはり量が少ないですね。」
……やっぱりか。
落ち込む気持ちはありました。
けれど、今回は不思議と心が折れなかった。
「結果がどうであれ、やれることは全部やろう。」
そう自分に言い聞かせ私は通院を続けました。
■でも、本当の問題は“そこ”じゃなかった
凍結を重ねれば安心。
そう信じていました。
けれど、見落としていたことが一つありました。
それは「夫婦のコミュニケーション」です。
■がんと“夜の関係”
がんの再発によって、
もう片方の精巣も摘出する可能性がある私。
医師からはこう言われました。
「今後、男性ホルモンが大幅に減るため、
性機能にも影響が出るかもしれません。」
つまり、
夫婦としての“夜の時間”が
難しくなる可能性があるということ。
それは身体の問題であると同時に、
「心」にも大きな影響を与えるテーマでした。
■“男として”の自信が揺らぐ
正直、少し前から違和感がありました。
ストレス、疲労、そして病気。
それらが重なって、反応が鈍くなっていく自分に気づいていました。
「自分は”男”としてどうなんだろう…?」
そう考えるたびに、
心が少しずつ沈んでいくのを感じました。
一方で妻もきっと不安だったと思います。
夫婦で話していても、どこかぎこちなくなる瞬間がある。
“普通に”が普通じゃなくなる。
それはお互いにとって苦しいことでした。
■子どもの未来と今の夫婦関係
「未来のために命を削ってでも子どもを残したい。」
そう本気で思っていました。
けれど、目の前の“今”をおろそかにしては意味がない。
未来を考えることと、
今の夫婦関係を守ること。
この2つのバランスを取ることが、
どれほど難しいかを痛感しました。
■病気・お金・心──すべてが絡み合う
病気、仕事、経済的不安、そして夫婦関係。
どれか一つでも重ければ、心はすぐに崩れてしまう。
それでも、
「お互いの気持ちを伝えることだけはやめない」
と決めました。
沈黙は関係を壊します。
たとえ重たい話でも言葉にすることで救われることがある。
そう信じて、私は妻としっかり向き合うようにしました。
■“問題”は連鎖する。だからこそ断ち切る勇気を
身体の不調は心に影響し、
心の不調は関係を壊す。
問題は静かに連鎖していきます。
でも、それを断ち切るのは“気づき”と“対話”。
そして「一緒に乗り越えよう」という覚悟です。
■ この記事のポイント
- 精子凍結は「数」だけでなく「心の整理」でもある
- 夫婦関係は病気の前にこそ“対話”が大事
- 問題は連鎖する。だから気づきが「第一歩」になる
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