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「明日転移するかもしれない」と医師に告げられながらも、未来に命を残すため「1ヶ月後の手術」を選んだ日。病院の廊下で涙した私を支えた看護師の言葉、そして生殖機能温存治療費助成制度との出会い。命を守るだけでなく“命をつなぐ選択”について綴ります。
■医師の一言が突き刺さった
「何かあっても私は責任を取れません。」
がん専門医のその一言が、胸の奥に深く刺さりました。
命を救うための決断を迫られているのに、
自分の想いはまるで“非常識”のように扱われた気がしたのです。
私はただ、
「未来に命を残したい」
そう願っていただけなのに。
■それでも私は“時間”を選んだ
精巣を摘出すればもう精子をつくることはできません。
だからこそ凍結の準備だけはしておきたかった。
その想いを医師に伝えると、
「GW明けなら手術室が空くかもしれません」
という提案を受けました。
私は迷いながらも、
「1ヶ月先の手術」
という選択をしました。
命を削ってでも、
家族を未来に残したい。
それが、私の“生命の天秤”でした。
■張りつめた気持ちが崩れた瞬間
診察室を出た瞬間、
自分でも驚くほど心が揺れました。
「本当にこの選択でよかったのか?」
そんな思いを抱えていた時、
後ろから声をかけてくれたのは、一緒にいた看護師さんでした。
「大丈夫?……先生、ちょっと言い方きつかったよね。」
その優しい一言で、張りつめていた糸がプツンと切れました。
気づけば、涙がこみ上げていました。
再び“がん”かもしれないという恐怖、
精巣を摘出しなければならない現実、
まだ見ぬ子どもへの想い、
生命の危機、仕事の不安、そしてお金の心配。
すべての感情が一気に溢れ出したのです。
■「がん相談支援センター」で見つけた光
その後案内されたのは
病院内にある 「がん相談支援センター」。
涙を堪えきれず、
相談員の前に座ることもできず、
トイレに駆け込んで泣いてしまいました。
でも、その涙のあとで教えてもらったのが、
「若年がん患者生殖機能温存治療費助成事業」でした。
これは、
がんで子ども産むことが困難になった若い世代を支援する制度。
助成金を受けて、精子凍結などの費用をサポートしてもらえるというものでした。
「隣駅の聖路加病院が対象ですよ。」
その言葉を聞いて、
久しぶりに“希望”が見えました。
■たとえ何かを失っても、残せる未来があるなら
「命を救う」だけが正解じゃない。
「命をつなぐ」こともまた、生きる意味になる。
誰かの支えや優しさがあったから、
私はまた一歩、前を向くことができました。
「自分の想いは間違っていなかった」
そう思えるようになったのは、
この“病院のトイレで泣いた日”があったからかもしれません。
■ この記事のポイント
- 命を守るだけでなく、命を“つなぐ”という選択肢がある。
- がん治療には経済的・心理的サポート制度が存在する。
- 一人で抱えずに、相談できる場所を持つことが大切。
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