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「明後日、手術しましょう」──突然の宣告。
精巣腫瘍再発、命を守るためのスピード決断と未来の家族への思いの狭間で揺れた1日。
理屈では割り切れない“心の葛藤”をリアルを綴りました。
■あまりにも突然な決断
「明後日手術しましょう。」
医師の口から出たその一言が頭の中で何度も反響しました。
「えっ……明後日!?」
再発の可能性は覚悟していた。
けれど、まさかこんなにも早く決まるとは思っていませんでした。
あまりの展開の速さに頭が追いつきません。
診察室を出たあともしばらくその言葉が頭の中をぐるぐると回っていました。
■がんの疑い、そして現実
診察前に受けたCT、血液、エコー検査。
結果を前にして医師が静かに言いました。
「がんの可能性が高いです。そして前回と同じセミノーマの疑いが強い。」
やっぱりそうか――。
覚悟はしていたはずなのに、
心のどこかでは「違う結果であってほしい」と願っていました。
その願いが一瞬で崩れた瞬間でした。
■命を優先するという現実
「子どものこともあるので、少しだけ考える時間がほしいんですが……」
私がそう伝えると、医師は少し強めの口調で返しました。
「今は転移がありませんが、明日にはどうなるかわかりません。
もし転移していたら抗がん剤治療になりますし、命の保証はできません。
だから、できるだけ早く手術したほうがいいんです。」
その言葉に何も言い返せませんでした。
命を優先する。それは当然のこと。
でも同時に私は心のどこかでこう思っていました。
「もう少しだけ、準備をする時間がほしい。」
■理屈はわかっても心がついていかない
精子の凍結はすでに3本してある。
医師の説明も理解している。
命を守るために“今”動くべきだということもわかっている。
でも心が追いつかない。
「なぜ今なんだ。」
「どうしてまた自分なんだ。」
手術の必要性も、医学的な正しさも理解している。
それでも納得できない気持ちはどこかで残っていました。
■命と人生、どちらを優先するか
がん専門病院の手術スケジュールは常に埋まっています。
それでも、私のような希少がん患者には優先枠があり、
「今なら明後日、手術室を確保できます」と医師は続けました。
理屈も理解している。
でも、気持ちは複雑でした。
私が一番願っていたのは、
「子どもを残すこと」。
結婚してようやく「家族をつくっていこう」としていた矢先に、
その希望を失うかもしれない――
あまりにも残酷なタイミングでした。
■一つの覚悟
考えに考えた末に、心の中で一つの答えが出ました。
「もし万が一、自分が死んでも、子どもをこの世に残したい。」
その想いこそが私の中の“生きる理由”でした。
たとえ、これからの身体に何かを失っても、
未来に命のバトンを渡せるなら――
それでいいと思えたのです。
■ この記事のポイント
- 命を守るための“スピード決断”が求められることもある。
- 理屈では理解できても心が追いつかない現実がある。
- 「命」と「人生」のどちらを優先するか、自分の軸を持つことが大切。
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