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腫瘍マーカーは正常、痛みもなし――それでも「切除手術が必要」と告げられた。
妊娠の可能性、未来の選択肢、そして命。
“見えないがん”とどう向き合うのか。理不尽に感じた現実とその先の決断を綴ります。
■腫瘍マーカーは正常。でも…
CT検査を終えて数日後、
結果を聞くために泌尿器科を訪れました。
「腫瘍マーカーが正常ならきっと大丈夫だろう」
そんな淡い期待を胸に診察室へ。
しかし、医師の口から出た言葉は想像と違っていました。
「腫瘍マーカーは正常です。でも影があるんです。」
画面に映し出されたCT画像。
そこにははっきりと“影”が見えました。
■良性でも取らなければならない現実
「腫瘍っぽい影があるのと私の経験的には悪性の可能性が高いです。
妊孕性(にんようせい)にも関わるのでがん専門の病院を紹介します。」
“悪性の可能性が高い”と言われた瞬間、
頭の中で何かが止まりました。
ただ同時にもう一つの疑問が浮かびました。
「良性の可能性もあるんですか?
良性でも取らなきゃいけないんですか?」
医師は静かにうなずきました。
「結果が良性であっても切除手術は避けられないと思います。」
■正常な数値、平然とした体、でも決断を迫られる
10数年前、初めての精巣腫瘍のときは迷う余地なんてありませんでした。
明らかな腫れと転移の影。
“命を守るために取る”という明確な理由がありました。
でも・・・今回は違います。
腫瘍マーカーは正常。
痛みも腫れもない。
自覚症状がほとんどない中で「取らなければならない」。
その理不尽さにどうしても納得できませんでした。
■家庭を築きたいタイミングで突きつけられた現実
結婚してようやく「子どもをつくろう」と話しはじめた矢先のこと。
「これが本当に必要な手術なのか?」
「もし取ったら、子どもを授かるチャンスはなくなるのでは?」
そんな不安が心の中を埋め尽くしました。
未来を守るための治療のはずが、
その未来を失うかもしれない――
そんな矛盾に心が押し潰されそうになりました。
■精巣がんのスペシャリストへ
紹介状を手に向かったのは、
国立がん研究センター(築地)。
ありがたいことに翌々日に診察の予約が取れました。
でも、その2日間は何も手につきませんでした。
スマホを見る気にもなれず、
テレビの音も、街のざわめきも、
すべてがうるさく感じました。
「慣れていたはずなのに全然慣れない。」
これまで2度の大病を経験してきた私。
“慣れ”なんて言葉は、命を前にしたときに意味を失うのだと悟りました。
■未来の選択肢を奪われる恐怖
「命の危険」は怖い。
でも「未来を奪われる」ことはそれ以上に怖い。
手術を受ける=命を守る。
だけど同時に“子どもを授かる可能性”を失うかもしれない。
この二つの天秤の前で、
私はしばらく立ちすくんでいました。
■ この記事のポイント
- 正常な数値でも「油断」は禁物。
- 精巣腫瘍は症状がなくても進行していることがある。
- 医師の判断だけでなくセカンドオピニオンも大切。
(実際に私は加入している生命保険のセカンドオピニオンサービスを利用しました。)
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