手術後に見た“新しい自分”──現実を受け止める日

精巣腫瘍1st

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精巣腫瘍の手術を終えて目覚めた朝。
生きていることへの安堵と同時に“何かを失った現実”が静かに押し寄せてきた──。
これは、手術直後のリアルな心境と、「生きる覚悟」を取り戻すまでの記録です。

■ 麻酔が覚めた朝、最初の感情は「安堵」だった

手術が終わって、初めて意識を取り戻した瞬間。
ぼんやりとした頭で最初に感じたのは“痛み”ではなく“安堵”でした。

「生きてる…」

その一言が、自然と口からこぼれたのを覚えています。
体中に管が通され、動くたびに鈍い痛みが走る。
それでも心のどこかで「生きてることがありがたい」と感じていました。

ナースコールの音、機械の電子音、誰かの足音。
全部が「現実の音」に聞こえて、
その一つひとつが「生きている証拠」みたいに感じました。


■ 鏡を見て、初めて“失った現実”と向き合う

翌朝、看護師さんに支えられながら、
ようやく自分の身体を確認しました。

「見たくないけど、見なきゃいけない」
そんな気持ちで、恐る恐るガウンをめくる。

手術痕の痛々しいテープ。
そして、そこに“なくなったもの”。

頭では理解していたはずなのに、
実際に目で見ると、胸の奥がギュッと締め付けられました。

「これが今の自分なんだ」

そう認めるまで、しばらく時間がかかりました。
でも、その瞬間からようやく“前を向く覚悟”が少しずつ芽生えていったように思います。


■ 看護師さんの一言に救われた

着替えを手伝ってくれた看護師さんが、
ふと笑いながらこう言いました。

「若いのに本当によく頑張りましたね。
 きっと大丈夫。人って思ってるより強いですよ」

その言葉を聞いた瞬間、張り詰めていた気持ちがふっと緩みました。
どんな治療法よりも、どんな薬よりも、
“人の言葉”には大きな力がある。

病室のベッドで、静かに涙が流れました。
それは悲しみではなく「生きることを選んだ自分」への涙でした。


■ 病院の廊下で感じた“小さな勇気”

術後3日目。
点滴スタンドを引きながら、初めて病院の廊下を歩きました。

外の光が窓から差し込み、
空の青さがやけにまぶしく感じました。

すれ違う患者さんの中には、
ウィッグを被った女性、酸素ボンベを引く男性、
小さな体で頑張っている子どもの姿もありました。

「みんな頑張ってるんだな」

そう思った瞬間、胸の奥が熱くなりました。
自分だけじゃない。
同じように闘っている人たちがいる。
その事実が、何よりの励ましになりました。


■ 失ったものより、これから得るもの

確かに私は“ひとつ”を失いました。
でも、同時に“多くの気づき”を得た気がします。

・人の優しさ
・生きるという奇跡
・そして「今を大切にする」という想い

この経験がなければ、
きっと当たり前の幸せに気づけなかったかもしれません。


■ まとめ:人生は「失う」ことで、何かを知る

・“喪失”は終わりではなく、次の始まり
・痛みを受け入れた瞬間、人は少し強くなれる
・誰かの言葉が、明日を生きる力になる

手術後、鏡の前で感じた絶望も、
今思えば「新しい自分」との出会いでした。

“過去の自分”を手放し、
“今の自分”を受け入れること。

それが、私の再出発でした。

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