「手術前夜、恐怖と希望のあいだで」──22歳の入院生活が始まった日

精巣腫瘍1st

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22歳で「精巣腫瘍(セミノーマ)」と診断された私。
大学卒業を目前に控えたある日、入院生活が始まりました。
手術を前に感じた“死への恐怖”と“生きたいという希望”の狭間で、
何を考え、どう向き合ったのかを綴ります。

■ 病院の匂いと、現実感のなさ

入院当日、
母と一緒に病院へ向かう道のりは、
いつもより長く感じました。

どこか現実感がなく、
「本当に自分が入院するのか?」と何度も頭の中で問いかけていました。

受付で名前を呼ばれ、
看護師さんに案内されながら病棟の奥へ進む。
消毒液の匂いが鼻をついた瞬間、
「ああ、これが現実なんだ」と身体が理解しました。


■ 病室のベッドに座って思ったこと

部屋は4人部屋。
すでに先に入院している方が3人いて、
それぞれ静かにテレビを見たり、読書をしていました。

その中に入ると、
一気に“病人”になった気がしました。

荷物を整理しながら、母が声をかけます。
「大丈夫? 何かあったらすぐナースコール押すんだよ」

その優しい言葉が逆に胸に刺さりました。
大丈夫じゃないのに、大丈夫って言ってしまう。
そんな自分が少し情けなかったです。


■ 医師の説明と、恐怖の実感

夕方、担当医と麻酔科の先生が病室に来ました。
手術の流れ、リスク、麻酔の影響――
事務的な説明が淡々と進んでいきます。

「全身麻酔になります」
「手術は約2時間です」
「摘出後、病理検査を行います」

頭では理解しているのに、
どこか遠くの話のように聞こえていました。

でも、「サインをお願いします」と言われ、
手術同意書に自分の名前を書いた瞬間、
胸の奥がドクンと脈打ちました。

“これで後戻りできない”
そう思うと、急に怖くなりました。


■ 夜。眠れないベッドの上で

消灯時間。
病室の明かりが落ち、静寂が訪れます。
他の患者さんの寝息が聞こえる中、私は一人、天井を見つめていました。

「死ぬかもしれない」
その言葉が何度も頭をよぎります。

でも、不思議なことに、
涙は出ませんでした。

代わりに心の中で思い浮かべていたのは、
家族、友人、これまで関わってくれた人たちの顔。

“ありがとう”という気持ちと同時に、
“もう一度会いたい”という想いが込み上げてきました。


■ 看護師さんの一言に救われた夜

深夜1時を過ぎた頃、
ナースステーションから巡回の看護師さんが病室に入り、
私の顔を覗き込みました。

「眠れないの?」
「…ちょっと緊張してて」

笑いながら「そりゃそうだよね」と言ってくれたその一言に、
なぜか涙があふれました。

人の優しさって、
こんなにも温かいんだと実感しました。


■ 明日、生きて帰ってこよう

明日はいよいよ手術。
命を守るための戦いが始まります。

怖い。
でも、それ以上に――

「生きたい」

その想いが少しずつ恐怖を上回っていきました。

どんな結果になっても、
絶対に“生きて帰る”と心に誓いました。


■ まとめ:不安と希望は同居する

・恐怖を感じるのは「生きたい」と思っている証拠
・優しさはどんな薬よりも心を癒す
・希望は、絶望の中でこそ見つかる

入院初日の夜、
私は「死」を意識しながらも、
「生きる意味」を少しだけ掴んだ気がしました。

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