「手術前夜、恐怖と希望のあいだで」22歳の入院生活が始まった日

精巣腫瘍1st
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22歳で「精巣腫瘍(セミノーマ)」と診断された私。
大学卒業を目前に控えたある日、入院生活が始まりました。
手術を前に感じた“死への恐怖”と“生きたいという希望”の狭間で、
何を考え、どう向き合ったのかを綴ります。

病院の匂いと現実感のなさ

入院当日、
母と一緒に病院へ向かう道のりは、
いつもより長く感じました。

どこか現実感がなく、
「本当に自分が入院するのか?」と何度も頭の中で問いかけていました。

受付で名前を呼ばれ、
看護師さんに案内されながら病棟の奥へ進む。
消毒液の匂いが鼻をついた瞬間、
「ああ、これが現実なんだ」と身体が理解しました。

病室のベッドに座って思ったこと

部屋は4人部屋。
すでに先に入院している方が3人いて、
それぞれ静かにテレビを見たり、読書をしていました。

その中に入ると、
一気に“病人”になった気がしました。

荷物を整理しながら母が声をかけます。
「大丈夫? 何かあったらすぐナースコール押すんだよ」

そんなことわかってるよ!
本当はそんなことも言いたいくらいだけど、
これから初めての入院生活が始まると思うと、
そんな一言も口から出てこない。
大丈夫じゃないのに、大丈夫って言ってしまう。
そんな自分が少し情けなかったです。

医師の説明と、恐怖の実感

夕方、担当医と麻酔科の先生が病室に来ました。
手術の流れ、リスク、麻酔の影響・・・
事務的な説明が淡々と進んでいきます。

「全身麻酔になります」
「手術は約2時間です」
「摘出後、病理検査を行います」

頭では理解しているのに、
どこか遠くの話のように聞こえていました。

「サインをお願いします」と言われ、
手術同意書に記入してもなお、現実味がない。

ただ“これで後戻りできない”
そう思うと急に怖くなりました。

夜。眠れないベッドの上で

消灯時間。
病室の明かりが落ち、静寂が訪れます。
他の患者さんの寝息が聞こえる中、私は一人、天井を見つめていました。

「死ぬかもしれない」
その言葉が何度も頭をよぎります。

でも、不思議なことに、
涙は出ませんでした。

代わりに心の中で思い浮かべていたのは、
家族、友人、これまで関わってくれた人たちの顔。

“ありがとう”という気持ちと同時に、
“もう一度会いたい”という想いが込み上げてきました。

明日、生きて帰ってこよう

明日はいよいよ手術。
命を守るための戦いが始まります。

怖い。
でも、それ以上に・・・

「生きたい」

その想いが少しずつ恐怖を上回っていきました。

どんな結果になっても、
絶対に“生きて帰る”と心に誓いました。

まとめ:不安と希望は同居する

・恐怖を感じるのは「生きたい」と思っている証拠
・優しさはどんな薬よりも心を癒す
・希望は絶望の中でこそ見つかる

入院初日の夜、
私は「死」を意識しながらも、
「生きる意味」を少しだけ掴んだ気がしました。

この記事を書いた人
maromau

3度の大病(精巣腫瘍を2回/ギラン・バレー症候群)を経験。
「不安の中にも希望はある」をテーマに生きるヒントを発信しています。
病気のこと、お金のこと、感じたこと、気づいたこと、色々と発信をしていきたいと思います。

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