「障害者手帳」という言葉に、どのようなイメージをお持ちでしょうか。
「重い障害がある人だけが持つもの」
「自分には関係のない世界の話」と考えている方が多いかもしれません。
私が感じた障がい者手帳というものは
「障害者」というレッテルを貼るためのものではなく、
生活の困難さを軽減し、
様々なサポートを受けるための「道具(パスポート)」のような存在です。
病気や怪我で生活に支障が出たとき、この「道具」を知っているかどうかで、
経済的・精神的な負担が大きく変わります。
この記事では障害者手帳の仕組みやメリット、
そして取得に対する心理的なハードルについて、
わかりやすく解説します。
障害者手帳とは?
障害者手帳とは、身体や精神に一定以上の障害があることを証明する公的な手帳のことです。
これを持っていることで国や自治体、民間企業から様々なサービスや割引を受けることができます。
手帳は大きく分けて以下の3種類があります。
- 身体障害者手帳:手足の不自由、視覚・聴覚障害、内臓機能の障害など
- 精神障害者保健福祉手帳:うつ病、統合失調症、てんかんなどの精神疾患
- 療育手帳:知的障害がある方(自治体によって「愛の手帳」など名称が異なります)
等級について
障害の程度に応じて「等級」が決まります。
例えば身体障害者手帳なら1級(重度)から7級(軽度)まであり、原則として6級以上の障害がある場合に手帳が交付されます。
等級によって受けられるサービスの内容が変わります。
「一生もの」とは限らない
重要なポイントですが、手帳には「永久認定(ずっとそのまま)」のものと、
「有期認定(数年後に更新が必要)」のものがあります。
病状が改善する可能性がある場合などは期限付きで交付されることもあるのです。
対象となる方
「自分は対象になるのだろうか?」と悩む方も多いと思います。
以下のようなケースで取得の可能性があります。
身体障害
手足が動かしにくい(肢体不自由)、目が見えにくい、耳が聞こえにくいといった目に見える障害だけでなく、心臓、腎臓、呼吸器、膀胱・直腸、小腸、免疫機能(HIV)などの内部障害も対象になります。
精神障害
統合失調症、うつ病・躁うつ病、てんかん、発達障害などで、長期にわたり日常生活や社会生活に制約がある方が対象です。
一時的な障害でも
例えば「手術後の一時期だけ人工肛門を使うことになった」「ギラン・バレー症候群で一時的に歩けなくなった」といった場合でも、その状態が一定期間続くと見込まれる場合手帳の対象になることがあります。
手帳を持つメリット
手帳を取得する最大の目的は、生活を支えるための具体的なメリットを受けることです。代表的なものを紹介します。
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経済的メリット
- 税金の控除
所得税や住民税に「障害者控除」が適用され、税金が安くなります。
等級が重い(特別障害者)場合は控除額が大きくなります。
- 公共交通機関の割引
JR、私鉄、バス、タクシー、飛行機などの運賃が割引になります(割引率は等級や事業者によります)。私はよくタクシーを使いますが1割引きとなります。
- 携帯電話料金の割引
大手キャリア各社が障害者向けの割引プランを用意しています。
- 自動車税の減免
通院や通学などに車を使用する場合、自動車税や自動車取得税が減免される場合があります。
- NHK受信料の減免
世帯の状況(全員が非課税など)や障害の程度によって、全額または半額が免除されます。 - 各娯楽施設の割引
映画館や夢の国などの娯楽施設でも割引が使えます。
補助者も割引が利くため、非常にありがたいです。
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生活面のメリット
- 公共施設の割引
美術館、博物館、動物園、水族館などの入場料が無料または割引になります。同伴者1名も無料になることが多いです。
- 駐車禁止除外指定車標章
歩行が困難な場合、公安委員会から標章の交付を受け、特定の場所に駐車できるようになります。
- 補装具費の支給
車椅子、補聴器、義肢などの購入や修理にかかる費用の一部が助成されます。
- 医療面のメリット
自治体によっては「心身障害者医療費助成制度(マル障)」があり、医療費の自己負担分(3割負担など)の一部または全額を助成してくれる場合があります。これは非常に大きな経済的支援です。
申請方法
手帳を取得するには、以下の手順が必要です。
- 市区町村の窓口で相談
障害福祉課などで申請用紙を受け取ります。 - 指定医による診断書の作成
ここが重要ですが、手帳用の診断書は「身体障害者福祉法第15条指定医」(精神の場合は精神保健指定医など)しか書くことができません。主治医が指定医かどうか確認が必要です。
※診断書の作成費用(数千円〜1万円程度)は自己負担となります。 - 申請書類の提出
診断書、写真、マイナンバーなどの必要書類を窓口に提出します。 - 審査と交付
専門家による審査が行われ、認定されれば手帳が交付されます。申請から交付までは通常1〜3ヶ月程度かかります。
心理的なハードルについて
ここまで制度の説明をしてきましたが、実際に取得を迷う一番の理由は「気持ちの問題」かもしれません。
「自分を障がい者だと認めたくない」「周りからそう見られるのが怖い」。
そう感じるのは、とても自然なことです。
しかし、手帳を持ったからといって、あなたの人間性が変わるわけではありません。
手帳はあくまで「今の生活の困りごとを助けてもらうためのパスポート」です。
実際に私も病気で今でも歩行がしづらい、走ることが困難な日々が続きました。
症状固定と言われた際、葛藤がありながらも手帳申請をお医者さんに依頼しました。
その結果、医療費助成やタクシー券の支給などを受けられ、
金銭的な不安が減ったことで、むしろ今ではないといけないものとなりました。
もし症状が改善して手帳が不要になれば、その時に返還すればいいのです。
「使える制度は賢く使う」。
自分の人生を守るためにその選択肢を持つことは決して恥ずかしいことではありません。
まとめ
障がい者手帳は様々な困難を抱える人の生活を支えるための大切な制度です。
この存在を知っているか知らないかで、
生活にかかるコストや受けられるサポートに大きな差が生まれます。
「もしかしたら自分も対象かもしれない」「一時的だけど生活が苦しい」。
そう思ったら、一人で悩まず、まずは主治医や病院のソーシャルワーカー、
または自治体の窓口に相談してみてください。
それは「弱さ」を認めることではなく、より良く生きるための「賢い選択」なのです。
当ブログは筆者個人の体験記です。医療上の判断を目的としたものではありません。症状がある場合や治療の判断は医療機関にご相談ください。記事内で医学的事実・制度等に触れる場合は、公的機関や医療機関、学会等の一次情報を参照し、記事末尾に参考リンクを記載します。
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